読みたい本はどんな本?

読んだ本についての感想と、気分で選べるようにジャンル分けをできればなあと。

『みずうみ』川端康成 純文学/追跡

[純文学]
厚みは1センチとない。純文学になれていれぼ、6時間あれば十分読み切れる。

[キーワード]
みずうみ、美人の後をつける、醜い足

[私的なキーワード]
コンプレックス、失ったものを求める

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ざっくりあらすじ

銀平は、美女を見かけると跡を追ってしまう性癖があった。かつては教え子であった久子の跡をつけ、それをきっかけに恋仲となり、最後には職を失っている。

その後も銀平は懲りずに、街中で見かけた美人を追い、水色のハンド・バッグを顔で受け止める。犬の散歩途中の少女の跡を付けて、再び会うために道端の溝に潜む始末。

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感想

艶かしいとか、あやしいとか、そういう強い明確な言葉が当てはまらなくって、なんだかぞわぞわするような、白昼夢に当てられたような、不思議な心地がずっと続いた。

最初の方では美しい女性の跡を追うにしても割りかしあっさり記述されていたけれど、中盤、少女の跡を追うあたりはどっぷりと異様さを増す。

カバンを顔で受け止めた際には、女性の住所等を手に入れても処分した。後から多少悔やんだけれど、また同じ場所でその人を探そうとはしない。

けれど少女の場合は、溝に隠れたり、気づかれぬよう彼女の鞄に蛍の入ったカゴを引っ掛けたりと、積極的に関わっていこうとする。彼女の恋人を見ても、逢引現場で二人を眺め、挙句には彼に声をかける。その話しかけ方も、少し不審な内容であるから、突き飛ばされる始末。

その理由と言えるような過去の出来事が合間合間に呼び起こされ、最終盤では過去の大きな悪行もあかされた。

あとはコンプレックス。

自分の足にコンプレックスがあって、醜いと恥じているのが、三島由紀夫金閣寺を思い出させた。